AIに競馬予想をさせるとき、プロンプトに入れるべきなのは「考え方(評価の枠組み)」と「調べ方」までです。「この馬が強い」という結論は入れません。
セガワークでは毎週、ChatGPT・Gemini・ClaudeのJRA重賞予想を並べて比較し、Threadsで発信しています。続けるうちに見えてきたのは、プロンプトの書き方ひとつでAIの予想の質も個性も大きく変わるということです。このページでは、プロの予想家、調教師・馬主、そしてオッズを読むプロという3つの目線から、AI予想のプロンプト設計を整理します。
JRAのオッズは誰かが決めるものではありません。パリミュチュエル方式なので、馬券を買った人全体の投票で決まります。つまりオッズそのものが、ファンとプロの予想を総合した「市場の答え」です。
そのうえ、売上から一定の割合(控除率)が差し引かれてから払い戻されます。控除率は単勝・複勝で約20%、枠連・馬連・ワイドで約22.5%、馬単・3連複で約25%、3連単で約27.5%、WIN5で約30%です。
1番人気の勝率はおおむね3割前後で、市場の評価はかなり正確です。AIにネット上の公開情報だけで予想させると、結論はほぼ人気順に寄ります。それでは当たっても、控除率の分だけ負ける計算になります。
AIは放っておくと、すべての項目を同じ重さで見てしまいます。レースごとに何を重く見るかを先に渡しておくと、予想に筋が通ります。
トラックバイアス(内外・前後の有利不利)>展開・ペース想定>コース・距離適性>ローテーション・間隔>騎手>血統
短距離・小回り・開催後半の荒れた馬場では展開と枠順を、長距離では折り合いとスタミナ実績を重く見る
人気馬ごとに「負けるとしたら何が原因か」を1行で書かせると、人気への追随がぐっと減る
天候と馬場状態(良・稍重・重・不良)は前日予想から大きく変わることがある
陣営が一番気にするのは、仕上がりと勝負度合いです。ここはAIが最も読み違えやすい部分でもあります。情報集めはAIに任せられますが、読み方を教えておかないと、AIは書いてあるとおりに受け取ってしまいます。
「状態は良い」は常套句なので評価に入れない。「叩いて上積み」「次が目標」は、今回は目イチではないサインと読む
時計の速さより、終いの伸びと併せ馬での手応えを重く見る
初騎乗なのか、有力騎手への強化なのかを分ける。強化なら陣営の勝負気配と読む
休み明けの大幅増は、成長分か太め残りかを前走との間隔とあわせて判断する
「◯◯は絶対来る」と書くと、AIはそれに同調し、自分の予想の焼き直しになる
根拠のない前提を渡すと、AIはもっともらしい理由を作文してしまう
複数のAIを比べるなら、全員に同じ枠組みと同じ調査指示を渡すのが公平。差はAIの解釈から出るようにするのが理想
【対象レース】を書き換えるだけで毎週使えます。情報収集もAI自身にWeb検索で行わせます。以下をそのままコピーして使ってください。
あなたはJRAの競馬予想の専門家です。以下の手順で【対象レース】を予想してください。
【対象レース】(例)○月○日 東京11R ○○ステークス
【手順1:情報収集】Web検索で、次の情報を自分で調べてください。
A. レースの基本情報:出馬表(枠番・馬番・馬名・性齢・騎手・斤量・調教師)、レース条件(距離・芝/ダート・右/左回り・内/外回り・別定/ハンデなど)、過去10年の傾向(勝ち馬の枠・脚質・人気・年齢・前走のレース)
B. 馬場・天候:当日の天候、馬場状態、前日からの降雨量、風、JRA発表のクッション値・含水率、開催何週目か、使用コース(A・B・Cコースなど)、前日と当日の同じコースの結果から見た馬場傾向
C. 各馬の能力・適性:近5走の着順・着差・上がり3F・通過順・ペース・不利の有無、同コース・同距離・同じ馬場状態での成績、持ち時計、休み明けや叩き何戦目かでの成績、斤量の増減、血統(父・母父の距離適性や道悪の得意・不得意)
D. 状態・陣営:最終追い切りと1週前追い切り(コース・時計・併せ馬・手応え)、厩舎・騎手のコメント、馬体重と増減、前走からの間隔・放牧明けか・長距離輸送の有無、乗り替わりの有無とその理由、騎手のこのコースでの成績、騎手・厩舎の最近の調子
E. 展開:逃げ・先行が見込まれる馬と、想定されるペース・隊列
F. 市場:最新の単勝・複勝オッズと人気、前日から当日にかけてのオッズの動き(急に売れている馬・売れていない馬)
G. 直前情報(発表済みの場合):出走取消・競走除外、騎手変更、パドックや返し馬の気配
調べるときのルール:JRA公式サイトや主要な競馬メディアを優先する。情報ごとに出典URLと確認した日時を記録する。見つからない情報は推測で埋めず「未確認」と書く。食い違う場合はJRA公式を優先する。他のレースや過去年の情報と取り違えていないか、日付とレース名を必ず確認する。
【手順2:評価軸】トラックバイアス > 展開・ペース想定 > コース・距離適性 > ローテーション・間隔 > 騎手 > 血統の順で重視。短距離・小回り・開催後半の荒れ馬場では展開と枠順を、長距離では折り合いとスタミナ実績を重く見てください。
【手順3:情報の読み方】「状態は良い」は常套句なので評価に入れない。「叩いて上積み」「次が目標」は今回が目イチではないサインと読む。追い切りは時計より終いの伸びと手応えを重く見る。有力騎手への乗り替わりは勝負気配と読む。休み明けの大幅な馬体重増は、成長分か太め残りかを間隔とあわせて判断する。直前にオッズが大きく動いた馬は、その理由となる情報がないか確認する。
【手順4:出力】(0) 収集した情報の一覧(出典URL・確認日時・未確認の項目)(1) 想定される展開 (2) 各馬の推定勝率(%)(3) 単勝オッズから逆算した市場の勝率と比べた「人気より買える馬」「人気ほど信頼できない馬」(4) 上位人気馬それぞれの「負けるとしたらこれが原因」(1行)(5) 印(◎〇▲)・AI評価点(100点満点)・理由オッズや馬体重は直前まで動くので、枠順確定後、できれば当日の馬体重発表後に実行すると精度が上がります。AIの検索結果には古い情報や取り違えが混ざることもあるため、出力の情報一覧で出典を確認してから予想を読むのがおすすめです。
2026年11月1日の天皇賞(秋)を、上のプロンプトでClaudeに予想させた実例です(10月31日実行)。
分からない情報は推測で埋めず「未確認」と書くのがこのプロンプトのポイントです。
⑨ホウオウビスケッツ(単騎)
①クロワデュノール・⑥セイウンハーデス・⑫・⑬リアライズシリウス・⑮
③レガレイラ・⑦マスカレードボール・⑪シェイクユアハート・⑰ダノンデサイル
⑭・⑯ジョバンニ
逃げ馬が1頭だけなので、ペースは平均〜やや遅め。Bコース替わりで傷んだ内側がカバーされ、内を通る好位の馬が有利と想定。差し馬は外を回る距離ロスが大きくなる。ただし土曜の結果は未確認なので仮説です。
⑥セイウンハーデス、⑨ホウオウビスケッツ
⑰ダノンデサイル
①、⑦
オッズの動き:前日夜は①2.2倍・⑦2.8倍 → 最新は⑦2.4倍・①2.7倍と逆転。③も11.1倍→9.6倍。⑦が売れた理由になる情報は確認できず、評価には加えていません。
市場勝率は10/31 00:46時点の単勝オッズから換算
1枠1番で包まれて仕掛けが遅れるか、C.デムーロ騎手との初コンビで早めに動いたところを目標にされる
キングジョージ7着から3か月ぶりの帰国初戦で最終追い切りも軽め。内・先行有利の馬場だと中団から届かない可能性
6枠からの差し馬で、GIの実績がない(宝塚記念14着)
近2走は4着・7着で勝ち切れていない。差し脚質が内・先行有利の想定と逆
連対例のない8枠17番からの距離ロスと、GIで4戦続けて3着の勝ち切れなさ。
①は1枠1番から好位の内で運べる立場で、大阪杯を勝った2000mの実績と最終追い切りの内容を評価。⑦は昨年このレースを上がり32秒3で勝った舞台巧者で能力はほぼ互角だが、海外帰り初戦と中団から差す形が馬場傾向と合わない可能性で僅差の対抗。③は56kgの斤量の利と2枠の位置、追い切りでの良化を評価。
妙味枠:⑥セイウンハーデスと⑨ホウオウビスケッツ(毎日王冠の1・2着馬、内・先行有利なら前残り)。
ChatGPTとGeminiは⑦本命、Claudeだけが馬場の見立てから①本命と分かれました。直前に確認すること:土日の東京芝で内の先行馬が残っているか(外差しが決まるなら⑦⑪を上げ①⑥を下げる)、⑦の馬体重、最新オッズで⑦がさらに売れていないか。結果はレース後に追記します。
プロンプトを育てる近道は、結果の記録です。「AI評価90点以上の馬は実際に何割勝ったか」「人気より買えると判断した馬の回収率はどうか」を毎週つけ、点数と実際の成績がずれていれば評価軸や重み付けを直します。
AIに渡すのは「結論」ではなく「考え方」と「調べ方」。そして結果で答え合わせをする。これが、AI予想を「当てもの」から「検証できる予想」に変える一番の方法です。毎週のAI予想比較はThreadsで公開しています。
※本ページのAI予想は娯楽・情報提供を目的としたもので、的中や利益を保証するものではありません。馬券の購入はご自身の判断と責任で、無理のない範囲でお楽しみください。20歳未満の方は勝馬投票券を購入できません。
AIに競馬予想をさせるとき、プロンプトに何を入れるべきか